「サービス残業が多くて辞めたいけど、未払いの残業代は諦めるしかない…」と悩んでいませんか。退職時に会社と金銭トラブルになるのは避けたいですよね。しかし、働いた分の対価を正当に受け取るのは労働者の権利であり、泣き寝入りする必要は全くありません。
この記事では、退職代行を利用しつつ未払い残業代を請求する方法を、弁護士が法的な観点から解説します。正しい手順と依頼先を知れば、会社と直接交渉することなく、円満な退職と残業代の回収を両立できます。安心して次のステップへ進むために、ぜひ最後までご覧ください。
退職代行を使っても未払い残業代の請求は可能です

退職代行サービスを利用して会社を辞めることと、未払いになっている残業代を請求する権利は、全く別の問題です。法律で守られた労働者の権利なので、どのような方法で退職したとしても、その権利が消滅することはありませんのでご安心ください。
退職方法と残業代を請求する権利は無関係です
退職代行を使うことは、労働者が持つ賃金請求権に何ら影響を与えません。会社を辞める方法に関わらず、働いた分の残業代を請求するのは当然の権利です。会社側から「代行業者を使うなら払わない」などと言われたとしても、法的な根拠はないので応じる義務はありません。
退職の意思表示を代行してもらうことと、過去の労働に対する賃金を請求することは、切り離して考えるべき問題です。不安に思う必要は全くありませんので、自信を持って請求を検討しましょう。まずは専門家へ相談してみるのがおすすめです。
会社が支払いを拒否しても泣き寝入りは不要です
会社によっては、退職代行の利用を理由に、残業代の支払いを拒否する姿勢を見せることがあるかもしれません。しかし、そのような不当な要求に応じる必要はなく、労働者の正当な権利を主張することが大切です。感情的なトラブルを避けるためにも、専門家の力を借りましょう。
弁護士などの専門家に依頼すれば、法律に基づいて会社と交渉し、適切に対応してもらえます。会社からの圧力に屈して泣き寝入りするのではなく、未払い賃金をきちんと回収するための行動を起こしましょう。あなた一人で悩む必要はありません。
未払い残業代の請求は弁護士への依頼がおすすめです

退職代行を利用して、さらに未払い残業代の請求も考えている場合、弁護士への依頼が最も確実で安心できる方法です。なぜなら、残業代の金額を計算し、会社に支払いを求める「交渉」は、弁護士にしかできない法律業務だからです。
退職代行業者の種類と残業代請求の可否を比較
退職代行サービスを提供している業者には、大きく分けて「民間業者」「労働組合」「弁護士」の3種類があります。それぞれに特徴があり、特に未払い残業代の請求のような法律が関わる業務の可否に大きな違いがあります。自分の目的に合った業者を選ぶことが重要です。
あなたの状況に合わせて、どの業者に依頼するのが最適か、以下の表で比較検討してみてください。
| 業者種別 | 退職の意思表示 | 未払い残業代請求(交渉) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 民間業者 | ○ | × (非弁行為) | 費用が安価だが、交渉は一切できない。 |
| 労働組合 | ○ | △ (団体交渉権) | 団体交渉は可能だが、裁判には対応できない。 |
| 弁護士 | ○ | ○ | 退職から残業代請求、裁判まで全て一任可能。 |
民間業者:残業代請求などの交渉は非弁行為です
一般的な民間企業が運営する退職代行サービスは、依頼者の代理人として会社と「交渉」することが法律で禁じられています。これは弁護士法で定められた「非弁行為」にあたり、違法となる可能性があります。そのため、有給消化や退職日の調整といった交渉もできません。
民間業者の役割は、あくまで本人の意思を会社に伝える「使者」に限定されます。未払い残業代の請求のような金銭が絡む交渉は一切できないため、退職だけをスムーズに進めたい場合に適しています。トラブルなく確実に請求したいなら、弁護士を選びましょう。
労働組合:団体交渉権がありますが制約もあります
労働組合が運営母体となっている退職代行サービスは、憲法で保障された「団体交渉権」を行使できます。そのため、未払い残業代の支払いや有給消化について、会社側と交渉することが可能です。民間業者よりも一歩踏み込んだ対応が期待できるのが特徴です。
ただし、労働組合の交渉はあくまで団体交渉の範囲内で行われます。もし交渉が決裂し、労働審判や裁判といった法的な手続きに移行する際には、別途弁護士に依頼する必要があります。最初から訴訟の可能性も視野に入れるなら、弁護士の方がスムーズです。
弁護士:残業代請求を含めた法律業務が可能です
弁護士は、依頼者の正式な「代理人」として、法律に基づいたあらゆる交渉や手続きを行うことができます。退職の意思表示はもちろん、未払い残業代の計算・請求、退職金の交渉、さらには労働審判や裁判に至るまで、すべての業務を一貫して任せることが可能です。
法律の専門家であるため、会社側が不当な主張をしてきても的確に反論し、依頼者の権利を守ってくれます。非弁行為のリスクもなく、最も安心感が高い選択肢と言えるでしょう。退職に伴うトラブルをまとめて解決したい場合に最適です。
残業代未払いの交渉は弁護士にしかできません
未払い残業代の金額を法的に確定させ、会社に対して支払いを求める一連の「交渉」行為は、弁護士資格を持つ者だけが行える専門的な法律事務です。民間業者や労働組合がこれを行うと、弁護士法違反(非弁行為)に問われるリスクがあり、トラブルの原因にもなりかねません。
確実かつ合法的に残業代を請求するためには、最初から弁護士に依頼するのが最善の選択です。弁護士であれば、万が一交渉がまとまらず裁判になった場合でも、そのまま代理人として対応してくれるため、手続きがスムーズに進みます。
弁護士に依頼して未払い残業代を請求する手順3つ

弁護士に依頼して未払い残業代を請求する場合、いくつかの手順を踏む必要があります。複雑に感じるかもしれませんが、専門家である弁護士がサポートしてくれるので心配はいりません。ここでは、具体的な流れを3つのステップで分かりやすく解説します。
手順1:未払い残業代を証明する証拠を集めます
まず、残業していた事実を客観的に証明するための証拠を集めることが非常に重要です。証拠がなければ、会社側が「残業の指示はしていない」と主張した場合に対抗できません。在職中に、できるだけ多くの証拠を確保しておきましょう。
タイムカードのコピー、PCのログイン・ログオフ記録、業務日報、上司への残業指示メールなどが有効な証拠となります。手元にない場合は、弁護士に依頼して会社に開示請求することも可能です。証拠が多いほど、交渉や裁判を有利に進められます。
手順2:証拠をもとに弁護士へ法律相談をします
集めた証拠を持参して、労働問題に詳しい弁護士事務所の法律相談を利用しましょう。多くの事務所では、初回の相談を無料で受け付けています。弁護士が証拠を精査し、残業代請求が可能か、どのくらいの金額を回収できる見込みがあるかを判断してくれます。
この段階で、依頼した場合の弁護士費用や具体的な手続きの流れについても詳しく説明を受けられます。複数の事務所に相談して、最も信頼できると感じた弁護士に依頼するのが良いでしょう。不明な点は遠慮なく質問し、不安を解消しておくことが大切です。
手順3:弁護士が会社へ内容証明郵便で請求します
弁護士と委任契約を結び正式に依頼すると、弁護士があなたの代理人として手続きを開始します。まずは、未払い残業代の計算を行い、会社に対して請求額やその根拠を記載した「内容証明郵便」を送付します。これにより、請求した事実が公的に証明されます。
弁護士名義の書面が届くことで、会社側も問題を軽視できなくなり、真摯な対応を取ることがほとんどです。多くの場合、この段階で交渉が始まり、裁判に至ることなく支払いに応じてもらえます。会社との直接のやり取りは全て弁護士が行います。
残業代請求の時効は3年なので注意しましょう
未払いの残業代を請求する権利には、「時効」があることに注意が必要です。給料日の翌日から計算して「3年間」で時効が成立し、この期間を過ぎてしまうと請求する権利そのものが消滅してしまいます。そのため、未払いに気づいたら早めに行動を起こすことが肝心です。
例えば、2024年4月25日が給料日だった場合、その分の残業代の時効は2027年4月25日となります。時効は1日単位で進行していくため、退職を決意したら、なるべく早く弁護士に相談し、時効を中断させるための手続きを取ってもらうことをおすすめします。
退職代行で残業代請求を弁護士に依頼するメリット

退職手続きと未払い残業代の請求をまとめて弁護士に依頼することには、時間的・精神的な負担を大幅に軽減できるなど、多くのメリットがあります。面倒な手続きや会社との交渉から解放され、安心して新しい生活の準備に集中できるでしょう。
退職手続きから残業代請求まで一任できます
弁護士に依頼する最大のメリットは、退職に関するあらゆる手続きをワンストップで任せられる点です。退職の意思表示、退職日の調整、有給消化の交渉、私物の受け渡し、そして未払い残業代の請求まで、すべての窓口を弁護士に一本化できます。
複数の業者に個別に依頼する手間がなく、情報共有もスムーズに行われるため、非常に効率的です。複雑な退職手続きも、法律の専門家があなたに代わって正確に進めてくれるので安心です。
会社との面倒な交渉を全て代行してくれます
退職や残業代請求の際に最もストレスとなるのが、会社との直接のやり取りです。弁護士に依頼すれば、依頼した時点からあなたが会社と連絡を取る必要は一切ありません。上司や人事担当者との会社との面倒な交渉は、すべて弁護士が代理で行ってくれます。
精神的な負担から解放されることで、あなたは心穏やかに退職日を迎え、転職活動や休息など、次のステップに集中することができます。もう会社からの電話やメールに怯える必要はありません。
非弁行為のリスクがなく安心して任せられます
弁護士による退職代行や残業代請求は、当然ながら弁護士法に違反する「非弁行為」のリスクはゼロです。法的に認められた正式な代理人として、法律に則ってすべての業務を遂行するため、後からトラブルに発展する心配がありません。
これが、交渉権のない民間業者に依頼する場合との決定的な違いであり、最大の安心材料と言えるでしょう。確実に、そして合法的に退職と残業代回収を成功させたいのであれば、弁護士への依頼が最も賢明な判断です。
弁護士への依頼前に知っておきたい注意点やデメリット

弁護士への依頼はメリットが多い一方で、事前に知っておくべき注意点もいくつか存在します。特に費用面については、後から「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、契約前にしっかりと内容を理解し、納得した上で検討することが大切です。
他の業者より費用が高くなる可能性があります
弁護士に依頼する場合、専門的な法律業務を行うため、民間業者や労働組合と比較して退職代行の費用が高くなる傾向があります。一般的に、相談料、着手金、成功報酬、実費などがかかり、総額は依頼内容によって変動します。
ただし、その費用に見合うだけの確実性や、交渉・裁判まで対応できるという大きなメリットがあります。単に料金の安さだけで選ぶのではなく、自分が求めるサービス内容と費用のバランスを考えて判断することが重要です。
成功報酬型の弁護士事務所を選ぶのがおすすめです
弁護士費用が心配な方や、手元にまとまったお金がないという方は、成功報酬型の料金体系を採用している弁護士事務所を選ぶのがおすすめです。この場合、着手金が無料または低額に設定されており、回収できた残業代の中から報酬を支払う形になります。
初期費用を抑えられるため、経済的な負担を気にせず依頼しやすいのが大きなメリットです。多くの労働問題に強い弁護士事務所がこの料金体系を導入しているので、費用が心配な方は、まずは無料相談で料金について詳しく確認してみましょう。
まとめ:退職代行と未払い残業代請求は弁護士に相談

退職代行サービスを利用しても、未払い残業代を請求する権利は失われません。しかし、残業代の請求交渉は弁護士にしかできない専門的な法律業務です。非弁行為のリスクを避け、確実な解決を目指すなら、最初から弁護士に相談するのが最も安全で確実な方法と言えます。
残業の証拠集めや3年という時効に注意する必要はありますが、弁護士に依頼すれば全ての手続きを安心して任せることが可能です。多くの法律事務所では無料相談を実施しているので、まずは気軽に連絡し、専門家の意見を聞いてみることから始めましょう。
退職代行の残業代未払いに関するよくある質問

最後に、退職代行サービスと残業代の未払い問題に関して、多くの方から寄せられる質問とその回答をまとめました。まだ疑問や不安が残っている方は、ぜひこちらを参考にして、悩みをスッキリ解消してください。
退職代行で給料未払いや残業代の交渉はできますか?
弁護士または弁護士法人が運営する退職代行サービスであれば、未払いの給料や残業代に関する交渉が可能です。弁護士は依頼者の代理人として、法的な根拠に基づいて会社側と交渉し、支払いを求めることができます。これは弁護士だけに認められた業務です。
一方で、民間企業や労働組合が運営する退職代行では、このような金銭請求の交渉は法律で制限されています。金銭的な請求も同時に行いたい場合は、必ず弁護士が対応するサービスを選びましょう。
退職代行の依頼は弁護士に相談するのが良いですか?
はい、特におすすめします。退職するだけでなく、未払い残業代の請求、有給休暇の消化、退職金の交渉など、会社との間で何らかの交渉事が発生する可能性がある場合は、弁護士への相談が最適です。法律の専門家が、あらゆる状況に的確に対応してくれます。
法律の専門家として、あらゆる状況に法的に正しく対応してくれるため、最も安心できる選択肢と言えます。トラブルを未然に防ぎ、スムーズに退職と権利の主張を両立させたいのであれば、弁護士への依頼を強く推奨します。
退職代行の費用相場や弁護士費用はいくらですか?
業者別の退職代行の費用相場は、民間業者で2〜3万円、労働組合で2.5〜3万円程度です。弁護士に依頼する場合は、退職代行のみで5万円以上が目安となります。これに加えて、未払い残業代の請求を行う場合は、別途弁護士費用が発生します。
残業代請求の弁護士費用は、着手金が数万円、成功報酬が回収額の20%程度に設定されているのが一般的です。事務所によって料金体系は異なるため、依頼前に必ず詳細を確認しましょう。
残業代未払いで辞めると会社都合退職になりますか?
残業時間が一定の基準を超えている事実が証明できれば、自己都合退職ではなく「会社都合退職」として認められる可能性が高いです。例えば、離職直前の3ヶ月間に連続して月45時間を超える残業があった場合などが該当します。
会社都合退職になると、失業保険の給付制限期間がなくなり、給付日数も長くなるという大きなメリットがあります。この点についても、退職手続きと合わせて弁護士に相談することをおすすめします。
退職代行サービスがダメだと言われる理由は何ですか?
「退職代行はダメ」という意見の背景には、いくつかの理由があります。一つは、一部の悪質な民間業者が交渉などの違法行為(非弁行為)を行い、トラブルに発展したケースがあることです。また、「自分の言葉で伝えるのが筋」という社会通念上の批判も存在します。
しかし、退職代行は労働者の権利を守るための正当なサービスです。特に、弁護士に依頼すれば法的なトラブルの心配は一切ありません。パワハラなどで追い詰められている状況では、ためらわずに利用を検討すべきです。
